―トゥルルル・・・トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・・・・
ガチャッ。
「―はい。もしもし?」
「やあ!」
明るくて優しいあなたの声は受話器の向こうからでもいつも私に元気と甘い胸も痛みをくれる。
彼は私の前では決して怒ったり愚痴を零したりということをしない。陽気で、話題も豊富で他愛のない事ばかり。
ランチの時に頼んだスープにハエが飛んできて見事着水した話とか、同僚が彼女と大げんかして一週間も口を聞いて貰えなかった話とか。
とにかく細やかで面白おかしく語ってくれるこの時は私たちの何よりも幸福な時間だ。
離れていても心はこんなにも身近にあって、深く深く繋がっていることを実感する。
私は逢いたい気持ちを懸命に抑えて約束の日までをカレンダー捲りつつ胸をときめかす。
この次はきっと、私はもっと幸せになっているはずだから・・・・・・。
――トゥルルルル・・・トゥルルル・・・トゥルルルルルル・・・
ああ、きっと彼からだわ。
今日は一体何を話してくれるのかしら・・・・・・・。
トゥルルル・・・トゥルルル・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガチャ。
「・・・はい。もしもし?」
ラップとジェシカによって創られた妄想の断片です。