お買い物

「おーい。まだかぁ?」
「ちょっと待って! 今見てるんだから」


女ってのは・・・これだから買い物は嫌なんだ。


 今日はいつも以上に多い買い物となった。二台のカートを二人の男が分担して押している。
ズラリと佇む商品棚を眺める女があれもこれもと突っ込んでくる。ずっと堪えてきたが両方ともこんもり山ができあがっていた。
「これも!」
ティーパックを乗せたが頂上からずり落ちてきてカートから零れてしまう。
「もう無理だよ」相棒が言う。「レジへ行こう」
「・・・他に要る物なかったかしら?」
「充分だって」
「んー・・・・・・」
女はまだ店内をうろつくつもりだ。
腕時計を一瞥して時間の進行の早さに驚く。
「忘れてた!」
イヤーな予感がした。
「張々湖がお米を欲しいって言ってたっけ」
「えぇ〜っ!?」
相棒の情けない叫び。
俺はそんな柄じゃないがさすがに面食らった。
 米売り場で十キロの袋を指さす彼女に、
「どうせならジェロニモを連れてけばよかったのに・・・」
珍しく文句ばかり垂れるな。と、感心した。だが彼女はそれを華麗に受け流すのが得意だ。
「はいはいわかったから。これ持って」
・・・ちっともわかってねぇじゃねぇか。

「そうだわ。アルベルト」
突然呼ばれて、ビクリと肩を震わせる。
「コーヒーの豆、もう切らしてたわよね?」



もう文句は言えない。せいぜい頑張るんだな、ジョー。


買い物ネタ。第二弾?
実際ウチの家族が揃って買い物に行くとこれくらいザラにあることなのです。
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